証人や当事者(以下,「証人等」という。)の尋問は,交互尋問方式といって
主尋問→反対尋問→補充尋問
という流れで行われます。
主尋問は,味方側の弁護士が一問一答で事実の経過等を証人等に質問します。
次に,反対尋問は,敵側の弁護士が主尋問を突き崩すべく証人等に質問します。
最後に,補充尋問は,裁判官が疑問に思ったところを証人等に質問します。
自分の側の証人等とは,事前に打合せをします(いわゆる証人テスト)。
主尋問で聞く質問をリハーサルするとともに,反対尋問対策として,自分が敵側弁護士だとして,反対尋問でどのような突き崩し方をするかを想定してリハーサルしておきます。
尋問当日に先立ち,弁護士は,相手方の証人等がどんなタイプか,どんな証言をするかを想像し,これまで法廷に出ている客観的証拠と経験則を手がかりに,どうやって反対尋問を成功させ,相手方の証人等の証言を突き崩すかを考えます。
反対尋問は,成功しないのが普通というのが,弁護士の常識です。
なぜなら,相手方の証人等も,当然リハーサルをして突き崩されない対策をしているからです。
でも,成功を目指し色々と試みます。
まず基本としては
・自己矛盾供述はないか
・思い込み供述はないか
・客観的証拠と矛盾する供述はないか
・経験則と矛盾する供述はないか
といった点を中心に反対尋問を構想しておきます。
また当日現場で相手側の主尋問を聞いて
・何かひっかかる(疑問に思う)点がないか
・不審な証言態度がないか
・おかしいことを言っていないか
などに注意し,臨機応変な反対尋問をします。
あとは結局のところ,経験です。
仮に,自分側の証人等が,敵側弁護士に突き崩されて反対尋問が成功した場合,その事件は負けるかもしれません。
が,その反対尋問から,多くのことを学び,かなりの経験になります。
普通は,リハーサルで想定していた以上のことを敵側弁護士がしてきますから,そんなやり方もあったか,と目から鱗が落ちることしばしばです。
もっとも,先ほど述べたとおり,反対尋問は成功しないのが普通なので,かなりレアケースとなります。
また,自分の反対尋問で,色々試みて駄目だった場合も経験になりますし,成功することもあるので,これも経験になります。
現場対応で,その場ではできなくても,後から,ああすればどうだったろうと思うこともあり,別機会に試したりします。
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