湘南|大船と辻堂(藤沢・茅ヶ崎)と平塚|3つ法律事務所がある弁護士法人代表の「弁」

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「弁護士法人プロフェッション」代表が時々弁ずるブログ|大船駅(鎌倉市)・辻堂駅(藤沢市・茅ヶ崎市)・平塚駅各3分|夜間休日相談あり

宛名の悩み

プライベートな手紙の宛名について。
実は,先日,自分宛に大先輩から「大兄」という敬称の手紙が届き,初めてのことで,知らないながら,年下なのに「兄」というので狼狽。

調べてみたら,ネットで作家の童門冬二先生のコラムを発見。その内容の要旨を備忘のためにも書いておくことにします。

敬称には,「殿,様,先生,学兄,大兄,恭兄,恭姉,尊師(お坊さん)などたくさんあり,悩む」とありました。

作家という仕事上は,「学兄と学姉」を使うとのこと。
編集者と書き手の関係が,“競馬の調教師と競走馬”と考えていて,調教師の意見を尊重して書き手をなさっているし,実際,学ぶことも多いというのが理由。男性なら学兄,女性なら学姉。年齢は関係ない。年下でも学弟,学妹はNG。

勤め先で一緒だった人たちなどには,「恭兄,大兄,恭姉」。
大姉はNG。戒名(女性の最高の戒名)になってしまうから。これらも年下に恭弟,恭妹はNG。

「尊師」はお坊さんへの敬称だが,宗旨によりNGの場合があり,「和尚,住職」となるとのこと。

そう知ってから,格好をつけて,プライベートの手紙の宛名に「大兄」を時々使っています。

蛇足ですが,医師への手紙には,「御侍史(おんじし),御机下(おんきか)」という脇付が書かれます。
前者は医師に直接ではなく秘書を通じてお渡しするという意味,後者は直接渡すのは恐れ多いので机の下に置いておきますという意味。

医療関係者の方からの私信には,弁護士に対しても,この脇付が書いてあることが多いです。医療関係者間では慣習化しているのだと思います。

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# by ofuna-law | 2019-09-29 16:16 | 仕事術 仕事感

年次有給休暇の略し方について,有休か有給か,どちらが正確なのでしょうか。

ネットを調べると,有休・有給,両論あります。

「辞典」や「新聞記事の表記」を根拠にして説明されています。

辞典は,「有給」として「給料が支払われること/有給休暇の略」とするものや,「有休」として「有給休暇の略」とするものがあります。
最新版広辞苑は「有休」を載せました。が,辞典で「有休」を載せているのは少数派とのこと。
弊法人所蔵の新明解国語辞典に載るのは「有給」のみ。「労働の報酬として規定通りの給料が支払われること。「-休暇」⇔無休」としています。


新聞記事は,新聞社ごとに「有休」「有給」のどちらも正式な略し方として使っているようです。

日経新聞は,「有休」に統一。
その説明要旨は次のとおり。
略し方の長所と短所を考えると,「有休」は意味を限定して伝えることができる。「有給」には「給料が支払われる」という意味がまずあるが,「有休」には「有給休暇の略」という意味しかない。表記のブレを防ぐためにも,「有休」に統一する,と。

「有給」を正式な略し方とする新聞社は,「有休」を見慣れない言葉だと感じたり,「給料」の「給」の字が入る方がイメージが沸くという人もいからというのが根拠のようです。


では,法律上はどちらの略し方が正確でしょうか。

この点,「年休権」という法律用語があります。労働基準法39条が年次有給休暇を定めていますが,この休暇を取得できる権利が「年休権」と呼ばれています。
よって,そもそも「年休」という言い方が最も正確と考えられます。

しかし,「有休」「有給」という略し方が一般化しているので,今更法律家が「年休」が正しいと言い張っても通る話ではないでしょうね。
もっとも,本来「年休」という言葉が正しいということから略し方を敷衍して考えるならば,「有休」と略するのが自然ではないでしょうか。

ちなみに,他の休暇制度の略し方との比較は,一般常識としても法律的にも参考になると思います。
産前産後休暇は「産休」。育児休暇は「育休」。病気休暇は「病休」。
同様に考えると,有給休暇は「有休」となるはずです。


なお,「代休」は略語ではありません。休日に働いた代わりに,改めて労働日に休日を作ることを指す言葉そのものを,代休と言います。

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# by ofuna-law | 2019-08-27 12:14 | 法律 論点 解釈
大谷實先生の学説(大谷説)を完徹していた身。

1 刑法総論についていうと、

大谷先生の「刑法講義総論」。

その新版第4版刊行が2012.5。5年も経っていることは、その間の新判例が載っていないことを意味する。値段も5000円近くして高いし、もしかしたら、近々第5版が出るかもしれない。だから、いまは買えない。

と以前書いていたのだが、2019.5に満を持して「刑法講義総論新版第5版」刊行。即購入。
結局ところ、おすすめである。
時を同じくして、前田雅英先生も「刑法総論講義第7版」を刊行。やはり「エキサイティング」な関係の両先生である(微笑)。

司法試験受験生は、大谷説前田説は…という感覚は正直あるだろう。
となるとポイントは、出版年月が近く、気鋭で定評のある基本書を探すこと。

そもそも共著は除外。刑法は最も体系の一貫性が必要な法律だから。単著が理想で、理想を求めることは、最も刑法的な思考である。難解で膨大なパズルを孤独に一つの体系として構築し確立してほしい。それが刑法の理想だと思う。氏名で「~説」と呼称されるまでになるのはそのため。

あと、元が実務家も除外。刑法は最も純理論的な法律学だから。実務はいわば妥協の世界である。その妥協の世界を、生粋の学者が純粋に完璧に美しく理論化してほしい。無理はもちろん承知ではあるが、そこに刑法の出発点があると思う。

判例通説に即せば、行為無価値で。かつ、気鋭の学者で、定評のある書。著者の経歴や、売れ行き(版を重ねているか)を、慎重に吟味する。

迷った挙げ句、高橋則夫先生のご著書を選択して買っている。第4版が2018.10刊行。しかも、出版社が成文堂(大谷説と同じ)。
経歴は早稲田の西原門下であるとのこと。西原説といえば、「共同意思主体説」ではないか。それなら知っている。同じ早稲田でも、結果無価値の曽根説とは違うのだ。

一方で、いまなら、最高裁判事になったばかりの山口厚先生は外せない。結果無価値でも、最高裁判事ともなれば、昔の団藤先生のような通説判例への歩み寄りも多少は期待するし、近時の山口説はそれを予感させる説の動きもある。
ないだろうが当初の大谷先生のような、ひょっとすることも起きないかとも思ったりもする(大谷説が結果無価値から行為無価値に大転換したのをリアルタイムで経験した一人であったりする)。

2 刑法各論についていうと、

大谷先生の「刑法講義各論」の最新版は、新版第4版補訂版で、2015.9の刊行。これは買わねばならない。

一方、刑事実務的に、平成10年代は、刑法各論は、判例通説ではない結果無価値でありながら、西田説が圧倒的に支持されていた。名著である。ただ、西田先生は2013.6に亡くなられた。
だが、さすが名著。門下の先生が、西田先生ご自身の筆を徹底に残しつつ、2018.4補訂版を刊行。これも購入。

体系の一貫性からすると、高橋先生の総論を今回買うなら、各論も買うべきであろう。版をみると、第2版が2014.10刊行、第3版が2018.10刊行。これも購入。

それと山口説の総論を買うから、同様に各論もと考えたが、刊行が古かった。おそらく近々新しい版が出るはず。だから、いまは買わない。

ちなみに、井田先生のご著書も売れているようで、行為無価値だから検討の余地があると思う方がいるかもしれない。

ただ、あくまでも大谷説から見ると、井田説は目的的行為論に拠っており、目的的行為論といえば元は福田説であり、本流の団藤大塚説からは傍流と感じるため(大谷説が東大ではないのでおかしな話だが)、読んでいないのに敬遠してしまう。

それにしても、昔(約20年以上前)と違って、たくさんの先生がたくさんの基本書を書いている。
選択の余地がなかったのも窮屈だったが、余地がありすぎるのも絞れない。悩みという点では同じだが、悩みが贅沢になったものである。

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# by ofuna-law | 2019-07-19 10:18 | 司法試験 勉強
1 刑事弁護に役立つのが「マイホームヒーロー」。山川直輝原作,朝基まさし作画。ヤンマガ連載中で2019年4月現在で既刊7巻。

刑事弁護実務ではここ数年,特殊詐欺の受け子及びそれに類する立場の被疑者・被告人を国選弁護人として担当することが増えた。
「マイホームヒーロー」は,特殊詐欺をテーマにした漫画ではないが,登場人物たちによって,この種犯罪の背後に存在する反社会的組織の実態,内情,上下関係などの人間模様が具体的にリアルに描かれ,大変勉強になる。

国選弁護人として担当するのは,あくまでも,受け子及びそれに類する立場の被疑者・被告人(以下「受け子等」という)。
組織から私選弁護人をつけてもらえないから,国選弁護事件になって,マチ弁が担当する。
逆に,組織内でそれよりも立場の上の人間だと,検挙されれば,組織が特定の私選弁護人をつける。マチ弁への依頼はない。

受け子等は,組織の内情について,知らされていないか,知っていても話せない。国選弁護人は,断片的で朧気な組織の姿のみ窺い知るだけ。
マイホームヒーローを読むと,断片的に知っていた情報がパズルのように繋がって組織の姿が現実味を帯びて見えるようになる。

2 不動産事件に役立つのは「正直不動産」。大谷アキラ著,夏原武原案,水野光博脚本。ビックコミック連載中で2019年4月現在で既刊5巻。

不動産は,売買,賃貸,相続,離婚などの民事及び家事事件において,紛争の対象(客体)になる。
弁護士は,民法という法律の切り口から不動産について勉強をした後,紛争化した際にそれが法律相談や事案として依頼され,当該紛争に関連する不動産取引の実態を少しずつ学んでいく。

「正直不動産」の主人公は,バリバリの不動産会社営業担当者だったのだが,突然嘘がつけなくなる。
嘘がつけないために虚実のある不動産取引の真実を暴露していく(真実が暴露されていく)。

まずは初めて聞くような真実が多い。また,知っていることの再確認,曖昧なことの正確化,本当はそういう意味だったのかという気づきという点でも,大変勉強になる。

なお,両方とも電子書籍(Kindle,楽天kobo等)なら,1~2巻は無料閲覧可能かもしれません。

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# by ofuna-law | 2019-05-07 18:29 | 仕事術 仕事感
令は「良い」という意味とのこと。「麗しい」という意味がより正しいニュアンスのようだ。
一方で,法令の「令」でもある。善政(良き政治)による正しい立法(良き法律)というのが大前提なのだろう,多分。「(良き君主たる)天皇が公布する」から令は「良き法律」という記事もあった。

平成バブルの恩恵を受けられなかったけど,その頃までの先人の自由かつ高収入の印象が強かったために,司法試験を目指したという人が周囲には多い。

ところが,平成20年代以降,弁護士は増員時代となり,「食えない(収入に困る人も出てきた)」と言われるように。
ただ,ここ数年は,優秀な方の首都圏の就職は「令(良い)」。とはいえ,東京オリンピック景気が関係しており,その後は流れが変わりそうに感じますが。

先行きは誰も分かりません。昔は銀行は就職の花形でしたが最近は縮小しています。公務員だって,好景気だと不人気ですが,不景気だと人気で人員削減傾向に傾きます。
結局,自分が将来どういう道に進みたいかを自問自答し,悔いのないよう進むのが大切なのではないでしょうか。

平成は,まずネット化が来てほぼ完成し,次いでAI化が来て未だ発展中。

今や,例えば棋士の世界では,AIが先を行き,AIの手(考え)から示唆を得て,勉強し成長していく時代となっているとのこと。新しい定石や,あり得なかった手が生まれ,AIに教わればよくて人間の師匠が要らなくなるとも言われています。

司法におけるAI化も,「令和」の早い段階で実用化するはず。
法曹も,当事者と向き合いつつ,(棋士に似て)AIから示唆を得て,より最善の道を探るようになると予想しています。
それは,法律の素養と同価値に,AIを駆使する素養が必要になるということ。

ちなみに,他の士業は,AI化により確かに当事者本人がAIを駆使すればよくなって,そうなると仕事が減る割合が高いように感じます。
一方で,士業でも法曹だと,問題が「人対人」であり,良くも悪くも「人間味がある」「人間ならでは」の仕事ゆえ,AIに取って代わられない,つまり,減りようのない割合が高いと思います。例えば,AIに聞けば裁判の結論が出て,それに納得しろということになったときに,それは無理という人は大半でしょう,現時点では。

令和には「和」の文字もあります(昭和に使われていたばかりなのでちょっと驚いた)。
そもそも,「和」以て貴しとなす,すなわち,「平和なら」「トラブルがない」という世の中になれば,法曹の仕事はなくなります。理想ですが,実現はまだまだ遠い将来の話。

人に感謝される仕事であること,専門家として腕を磨けること,コントロールできればいろいろな自由度が高いこと。
「~長者」や「億り人」にはなれないけれど,諺を借りると「武士は食わねど高楊枝」,これを地で行けたら,職業として他に類のない「令(良い)」仕事だと思います。

苦労も多く(勿論どの仕事もだと思いますが),次の人生では敢えてなろうと思わない(そもそも司法試験に合格する自信がないし,その力や時間があったらほかのことに振り分けたい)ですけど。

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# by ofuna-law | 2019-04-03 12:55 | 今の関心事

「弁護士法人プロフェッション」代表が時々弁ずるブログ|大船駅(鎌倉市)・辻堂駅(藤沢市・茅ヶ崎市)・平塚駅各3分|夜間休日相談あり


by prof-law