湘南|大船と辻堂(藤沢・茅ヶ崎)と平塚|3つ法律事務所がある弁護士法人代表の「弁」:法律 論点 解釈
2021-01-30T18:36:56+09:00
ofuna-law
「弁護士法人プロフェッション」代表が時々弁ずるブログ|大船駅(鎌倉市)・辻堂駅(藤沢市・茅ヶ崎市)・平塚駅各3分|夜間休日相談あり
Excite Blog
供述調書、契約書、公正証書を「巻く」の語源
http://ofunalaw.exblog.jp/30580333/
2019-11-22T08:31:00+09:00
2019-11-22T09:16:36+09:00
2019-11-22T08:58:12+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
長年、語源が疑問で、このたび漸く調べてみましたが、よくわかりません。
契約書を製本するときに背表紙にテープを巻くからという説は、供述調書は、ステープラーで綴じるだけ。公正証書も、やはりステープラーで綴じるだけ。
よって、この説は違うと思います。
供述調書のみについていえば、被疑者を煙に巻いて署名押印をさせてしまう(もちろん違法です)の「煙に巻く」が語源との説がありそうです。契約書ならば、例えば、立場が強い側が弱い側を煙に巻いて契約締結してしまうことはあり得なくもないでしょう(これも不適法で契約無効となりえます)。
しかし、少なくとも公証人の公正証書は、正確無比なので、煙に巻いて作成することはありません。
よって、この説もやや違うと思います。
テレビなどで、早く収録を終わらたいときに「巻きでお願いします」という業界用語があります。
要するに、時間内に迅速に切り上げるということですが、供述調書、契約調書、公正証書も、時間内に迅速にまとめ上げるという意味で、この用例に近い感覚はあります。
ただ、業界用語の巻くは、元々収録テープのからみで、時間がないとテープ残量との関係で収録しきれないから、テープを巻ける時間内に終わらせるという意味と聞いたことがあります。
もし収録テープの巻きが語源なら、供述調書等には当てはまらないことになります。
古来、こういった書面は、巻物で作成していました。
「手紙を巻く」という古語があって、今も「巻き手紙セット」というのが買えます。巻物で手紙を出せます。
巻物を使わなくなった現代にも、この使い方が残って、供述調書や契約書や公正証書は、「巻く」というのではないでしょうか。
調べた限りでも、この説が通説のようでした。
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年次有給休暇の略し方 有休か有給か
http://ofunalaw.exblog.jp/30422794/
2019-08-27T12:14:00+09:00
2019-08-29T10:58:42+09:00
2019-08-27T12:14:52+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
ネットを調べると,有休・有給,両論あります。
「辞典」や「新聞記事の表記」を根拠にして説明されています。
辞典は,「有給」として「給料が支払われること/有給休暇の略」とするものや,「有休」として「有給休暇の略」とするものがあります。
最新版広辞苑は「有休」を載せました。が,辞典で「有休」を載せているのは少数派とのこと。
弊法人所蔵の新明解国語辞典に載るのは「有給」のみ。「労働の報酬として規定通りの給料が支払われること。「-休暇」⇔無休」としています。
新聞記事は,新聞社ごとに「有休」「有給」のどちらも正式な略し方として使っているようです。
日経新聞は,「有休」に統一。
その説明要旨は次のとおり。
略し方の長所と短所を考えると,「有休」は意味を限定して伝えることができる。「有給」には「給料が支払われる」という意味がまずあるが,「有休」には「有給休暇の略」という意味しかない。表記のブレを防ぐためにも,「有休」に統一する,と。
「有給」を正式な略し方とする新聞社は,「有休」を見慣れない言葉だと感じたり,「給料」の「給」の字が入る方がイメージが沸くという人もいからというのが根拠のようです。
では,法律上はどちらの略し方が正確でしょうか。
この点,「年休権」という法律用語があります。労働基準法39条が年次有給休暇を定めていますが,この休暇を取得できる権利が「年休権」と呼ばれています。
よって,そもそも「年休」という言い方が最も正確と考えられます。
しかし,「有休」「有給」という略し方が一般化しているので,今更法律家が「年休」が正しいと言い張っても通る話ではないでしょうね。
もっとも,本来「年休」という言葉が正しいということから略し方を敷衍して考えるならば,「有休」と略するのが自然ではないでしょうか。
ちなみに,他の休暇制度の略し方との比較は,一般常識としても法律的にも参考になると思います。
産前産後休暇は「産休」。育児休暇は「育休」。病気休暇は「病休」。
同様に考えると,有給休暇は「有休」となるはずです。
なお,「代休」は略語ではありません。休日に働いた代わりに,改めて労働日に休日を作ることを指す言葉そのものを,代休と言います。
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「裁判官!当職そこが知りたかったのです。」岡口基一・中村真著
http://ofunalaw.exblog.jp/29365676/
2018-03-12T12:30:00+09:00
2019-02-23T07:26:47+09:00
2018-03-12T12:30:01+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
1 訴状のファーストインプレッション
裁判官は(忙しいので)訴状を読んでとりあえず心証をとる。
訴状は,代理人の印象を決める。また,本格的に争われる訴訟は(心証を)最初に印象刷り込むのがよい。
弁護士は,複雑な訴訟物のときも要件事実を整理して書き分け,「よって書き」も正確に書くこと。
2 効果的な尋問
尋問は,事実認定の仕方にもつながるところ,裁判官は,この人はこういう動機があるからこうしたんだろうと,どちらかというと動機を中心に考える。
基本的な周辺情報は陳述書に書く。なお,「当事者の陳述書は全く証拠価値がない」とのこと。
尋問で,陳述書に書いていない動機や人間性がポロッと出ると,作為が介入しない生の情報として裁判官の心証に影響を与える。
3 必要とされる要件事実教育
実務家に必要な要件事実教育は,どんなに訴訟物や攻撃防御方法が複雑でも,正確に旧様式判決の「当事者の主張」欄が書けるレベル。それは大変な知的労力を伴い,ベテラン裁判官でも易々とはできない。
いまは,ロースクールも「さわり」だけ。司法試験も要件事実を勉強せずに合格できてしまう。司法研修所も上記教育をしていない。予備試験組は,要件事実教育を1回も受けずに実務家になっている。
2019/02/16追記今日の新聞に,岡口裁判官が国会の裁判官訴追委員会に招聘されるという記事が出ていた。確かに問題ツイートはあったが,既に最高裁の処分も受けたのに,国会が口出しするのは,立法の司法介入であり,本来謙抑的であるべきと思う。裁判官! 当職そこが知りたかったのです。 民事訴訟がはかどる本 [ 岡口 基一 ]
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反対尋問 2007.6記事改訂
http://ofunalaw.exblog.jp/28590032/
2017-11-14T08:14:00+09:00
2018-04-22T05:06:32+09:00
2017-12-14T08:36:01+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
主尋問→反対尋問→補充尋問
という流れで行われます。
主尋問は,味方側の弁護士が一問一答で事実の経過等を証人等に質問します。
次に,反対尋問は,敵側の弁護士が主尋問を突き崩すべく証人等に質問します。
最後に,補充尋問は,裁判官が疑問に思ったところを証人等に質問します。
自分の側の証人等とは,事前に打合せをします(いわゆる証人テスト)。
主尋問で聞く質問をリハーサルするとともに,反対尋問対策として,自分が敵側弁護士だとして,反対尋問でどのような突き崩し方をするかを想定してリハーサルしておきます。
尋問当日に先立ち,弁護士は,相手方の証人等がどんなタイプか,どんな証言をするかを想像し,これまで法廷に出ている客観的証拠と経験則を手がかりに,どうやって反対尋問を成功させ,相手方の証人等の証言を突き崩すかを考えます。
反対尋問は,成功しないのが普通というのが,弁護士の常識です。
なぜなら,相手方の証人等も,当然リハーサルをして突き崩されない対策をしているからです。
でも,成功を目指し色々と試みます。
まず基本としては
・自己矛盾供述はないか
・思い込み供述はないか
・客観的証拠と矛盾する供述はないか
・経験則と矛盾する供述はないか
といった点を中心に反対尋問を構想しておきます。
また当日現場で相手側の主尋問を聞いて
・何かひっかかる(疑問に思う)点がないか
・不審な証言態度がないか
・おかしいことを言っていないか
などに注意し,臨機応変な反対尋問をします。
あとは結局のところ,経験です。
仮に,自分側の証人等が,敵側弁護士に突き崩されて反対尋問が成功した場合,その事件は負けるかもしれません。
が,その反対尋問から,多くのことを学び,かなりの経験になります。
普通は,リハーサルで想定していた以上のことを敵側弁護士がしてきますから,そんなやり方もあったか,と目から鱗が落ちることしばしばです。
もっとも,先ほど述べたとおり,反対尋問は成功しないのが普通なので,かなりレアケースとなります。
また,自分の反対尋問で,色々試みて駄目だった場合も経験になりますし,成功することもあるので,これも経験になります。
現場対応で,その場ではできなくても,後から,ああすればどうだったろうと思うこともあり,別機会に試したりします。
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獬(かい)「けものへんに解」
http://ofunalaw.exblog.jp/20037321/
2013-09-01T22:00:00+09:00
2018-03-09T19:07:10+09:00
2013-05-07T22:17:25+09:00
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法律 論点 解釈
ある人に教わりました。
(意味)
1 牛に似た神獣の名。人の戦うのを見れば,その邪悪な方を角で突き,人の議論を聞けば,その不正の方を噛むという。後世。この図を裁判官の服に描く。
2 司法官のかぶる冠の名。獬(かい)冠。
西洋で法を司る神がテミス。
獬は東洋でいうそれでしょう。
wikipediaにありました「カイチ」で検索してみてください。
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殺意の認定
http://ofunalaw.exblog.jp/3806242/
2012-02-19T09:00:00+09:00
2018-03-16T11:07:19+09:00
2006-04-19T09:09:29+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
ここで争点となるのが「殺意の認定」です。
前提知識から説明します。
殺意とは,人を殺す行為(殺人行為)を認識し認容する意思のこと(簡単に言えば,人を殺すつもりで殺人行為をすること)を言います。
殺人行為とは,人の生命を断絶するに足りる現実的危険性を有する行為を言います。
例えば,人に向けてマシンガンを乱射する行為は,人の生命を断絶するに足りる現実的危険性を有する行為であり,殺人行為です。
この殺人行為を認識し,認容(殺してもかまわないと思う)すれば,殺意が認められます。
なお,殺意には,大きく2つに分けて,確定的殺意と,未必的殺意があります。
確定的殺意とは,積極的に「殺してやる」との意思を有する場合。未必的殺意とは,消極的に「殺してやるとまでは思わないが,死んでも構わない」との意思を有する場合です。
殺意の認定は,検察側としては,それをどのように裁判官に認めてもらうか,弁護側としては,認めてもらわないようにするか,が裁判の争点・大きなポイントになります。
このような場合,証拠裁判主義をとる我が国の裁判制度のもとでは,行為の客観的状況(客観面)を証拠で認定し,そこから殺意を認定する手法がとられます。
まずは,行為態様,凶器を見ます。
人に向けてマシンガンを乱射していた被告人が,「人を殺すつもりはなかった」と言ったとしても,人に向けてマシンガンを乱射する行為自体,殺人行為としての危険性が高いので,それを行う場合,殺す意思はあるだろうという思考パターンがとられ,殺意が認定されます。
人をナイフで突き刺した被告人だったらどうでしょうか。
人体の枢要部(心臓や頭)を狙っているか,刺した回数はどうか,傷の深さはどうか,ナイフの刃渡りはどうか,ということを総合的に考えて,殺意を認定します。
例えば,刃渡り20センチのナイフで,心臓付近を5回深く刺していた場合,これは強固な殺意が認定されると思われます。
逆に,刃渡り4センチのナイフで,右手付近を2~3回浅く切りつけていた場合,これは殺意は認められないでしょう。
次に,動機も見ます。
その被告人に被害者を殺す動機があったか。怨恨等がなかったか。これも関係者の供述から明らかにされ,動機があったかを見ます。
ほかにも,判断要素はありますが,大まかには,以上のような要素から被告人をとりまく客観的状況を総合的に認定し,客観面から,殺意があったか否かを判断します。
なお,弁護人にとって,殺意を争う場合に気を遣うのは,判決を見据えたときに,殺意が認定される見込みが高い事案です。
依頼人である被告人が殺意を争うという以上,その意思を最大限尊重するのが弁護士の役割のひとつです。
一方で,弁護士は,社会正義を実現する役割もあるので,無理なものは無理と助言する役割もあります。
また,殺意の否認は,主張が通らない場合は,無反省という評価に繋がるため,刑が重くなるリスクもあります。
証拠や経験則に照らし,以上の有利不利な点をすべて被告人に説明し,弁護しなければならないのです。
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証拠(書証)の提出
http://ofunalaw.exblog.jp/16345273/
2011-05-18T13:48:00+09:00
2019-01-31T23:51:23+09:00
2011-05-18T13:49:35+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
そうしたところ,裁判所にはFAXしないんですか?と尋ねられました。
確かに,民事では,審理促進充実の見地から,早期に書証を裁判所にFAXします。
しかし,刑事では,起訴状一本主義,予断排除の原則というのがあって,事件の証拠類は,第1回公判期日前に裁判官は見せないで,裁判官に先入観なく公判に臨んでもらう建前になっています。
ですので,刑事の書証は,公判前に,検察庁にはFAXしますが,裁判所にはFAXしてはいけないことになります。 ]]>
裁判員制度対策講座
http://ofunalaw.exblog.jp/11516260/
2009-05-11T20:14:00+09:00
2015-04-17T20:24:58+09:00
2009-05-11T20:14:46+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
裁判員制度も今月21日からスタートということで,裁判員に選ばれる国民の皆さんも大変だと思いますが,従来にない新しい制度に対応して弁護活動をするべく,弁護士も大変です。
弁護士の場合,仕事なので対策を講じておくのが当たり前ですが。
私は,これまでに,裁判員模擬裁判を経験しており,その経験から,裁判員制度における弁護活動について,少しは分かっていたつもりですが,今回の講義で,また深く理解ができ,普通レベル以上には対応ができると思っています。
後は本番で調べ調べしながら実践する段階になります。
今日の講義では,要するに,裁判員の皆さんに「わかりやすい」弁護活動をしなければならない,ということが強調されており,改めて興味深く,講義を聴いていました。
「わかりやすい」とは,たとえば,専門用語を使わないとか,書き言葉ではなく話し言葉でプレゼンテーションを行うとか,裁判員全員の顔を見ながら主張するとか,そういうことでした。
裁判官や検察官は,組織内部で早くから対策を練り訓練を重ねていました。
弁護士は,対策がやや遅れているとの指摘がありましたが,私の場合は,特に,裁判員模擬裁判の弁護人役をしたことから,検察官のプレゼンテーション等の技術の高さを目の当たりにし,危機感を抱きましたし,もっと頑張らないといけないと思っていたところでした。
今回の講義を受けたのは,そのためでもあります。
全国の第1号や神奈川県の第1号の裁判員裁判が注目されます。]]>
法的3段論法とリーガルマインド(法的思考能力)
http://ofunalaw.exblog.jp/10235906/
2008-12-01T02:04:00+09:00
2018-03-09T19:13:13+09:00
2008-12-01T02:05:03+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
大前提 eg 人は死ぬ
↓
小前提 ソクラテスは人である
↓
結 論 ゆえにソクラテスは死ぬ
という流れで3段に思考するので,法的3段論法と言います。
大前提は条文であり,小前提は条文に該当する事実関係であり,それをあてはめて結論を出します。たとえば,刑法199条の殺人罪の場合,
大前提 人を殺した者は死刑または無期もしくは5年以上の懲役
↓
小前提 AさんはBさんをピストルで射殺した
↓
結 論 ゆえにAさんは懲役10年
リーガルマインド(法的思考能力)とは,概念が多岐にわたるのですが,今説明した法的3段論法もリーガルマインドの一つです。
定義としては,法を解釈し適用して紛争を解決する能力。という感じでしょうか。
法の解釈には,文理解釈と目的論的解釈があります。
文理解釈というのは,条文の文をそのまま素直に解釈する方法です。
目的論的解釈とは,条文の文ではなく,条文の目的に遡ってその目的に沿うように解釈する方法を言います。
たとえば,「この橋は牛は渡ってはいけません」という条文があったとしましょう。
この場合,牛は渡れないんだな。というのは文理解釈です。
では,人は?豚は?車は?どうでしょうか。
牛しか禁止されてないから,人も豚も車もいいはずだ。というのも文理解釈(反対解釈)です。
ただ,なぜこんな決まりがあるのだろうと目的に遡って考える解釈が目的論的解釈であり,たとえば,橋の強度の問題で,牛のような重い動物が通ると橋が壊れてしまうために,牛は通ってはならないというのが,この条文の趣旨だとしましょう。
そうすると,人や豚は牛より軽いから,1人・匹であれば,通ってもよいということになるでしょうし,車は牛より重いので,通ってはならないことになります。
豚10匹だったらどうでしょう?
豚10匹なら,重さは牛と変わらないので,通ってはいけないことになるのだと思います(類推解釈)。
このように条文を解釈・適用できる能力をリーガルマインドと呼びます。
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無期懲役刑の実態
http://ofunalaw.exblog.jp/10219938/
2008-11-28T17:19:00+09:00
2019-05-07T14:07:42+09:00
2008-11-28T17:11:43+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
無期懲役というのは,有期懲役が最高30年(刑法14条)ですので,それよりも重い懲役刑なのですが,他の国にみられる終身刑とはまた違います。
終身刑は一生刑務所にいるという刑ですが,日本にはありません。
無期懲役は,終身刑よりは軽い刑です。
一方,日本には,仮釈放という制度があります(刑法28条)。
懲役刑になっても,模範囚など特に改悛の情がある場合は,早期に刑務所から出所できる制度です。具体的には,有期刑の場合は刑の3分の1を目処に,無期刑の場合は10年以上を目処に,仮釈放されます。
だからといって,無期懲役になっても10年で仮釈放がされているかというと,実態はそうではなく,現実には無期懲役受刑者が10年で仮釈放されるのは皆無だそうです。
2007年のデータでは,無期懲役受刑者で仮釈放された人は3名。平均刑務所在所期間は30年だそうです。
無期刑が事実上の終身刑に化していて,人権上問題なのではないかという問題意識があります。日本にはない終身刑を新設し,刑を多種選択できるようにしてゆくべきとの意見もあります。
死刑廃止論も絡んで今後の課題だと思います。
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訴えの取下げ 再訴禁止効
http://ofunalaw.exblog.jp/9056068/
2008-06-16T12:06:00+09:00
2019-02-23T08:25:04+09:00
2008-06-16T12:06:22+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
再訴するかもしれないので,再訴してもかまわない旨の条項を入れようとしたところ,判決が出た後でないと,再訴禁止効は生じないとのこと。
被告が応訴さえしていれば再訴禁止効が生じるかと誤解していました。
そのため,その条項は入れませんでした。
調停成立の席で,裁判官から教わりました。
参照条文です。
第262条(訴えの取下げの効果)
① 訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
② 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。
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既判力の客観的範囲
http://ofunalaw.exblog.jp/9033711/
2008-06-12T18:35:00+09:00
2018-12-27T13:19:57+09:00
2008-06-12T18:35:19+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
これを既判力の客観的範囲といいます。
別の観点からの説明として,既判力は,判決主文に生じ,理由中の判断には生じないという説明がなされます。
誤解しやすいのは,例えば,債務不存在確認訴訟を起こして,請求棄却判決が出た場合,判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれていないことから,何に既判力が生じたかがわからないという学生がいることです。
要は,訴訟物に生じるのだから,この場合は,判決の理由を読むことにより,債務の存否が訴訟物であると抽出して,その債務の存否に既判力が生じると考えるのが素直です。
この場合,判決の理由を使って訴訟物を明らかにしているだけで,判決の理由中に既判力を認めたわけではないことに注意が必要です。
例えば,同じ債務不存在確認訴訟で,請求棄却判決が出た場合に,その理由が相殺の抗弁が認められた場合で考えると区別がつきます。
この場合も判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれませんが,先程述べたように訴訟物である債務の存否に既判力が生じ,これが既判力の客観的範囲となります。
相殺の抗弁が認められたことは,理由中の判断であり,既判力の客観的範囲の例外として,相殺の抗弁には既判力が生じるので,この場合は相殺の抗弁が認められたことに判決理由中の判断として既判力が生じます。
理由を使って訴訟物を抽出することは,言ってみれば当たり前になされるわけで,判決理由中の判断の既判力の問題とははっきり区別されます。
最近「法律」のネタを書いてない気がしたので,ちょうど学生から質問があったことを記事にしてみました。
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復帰的物権変動
http://ofunalaw.exblog.jp/8940675/
2008-05-28T16:05:00+09:00
2017-12-25T16:50:18+09:00
2008-05-28T16:05:17+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
車の所有権は,原則として契約時に,乙に移転します。
ところが,元々乙さんが甲さんを騙したため,甲さんは乙さんに売ったという前提だったとします。
これは,詐欺(民法96条)で,甲さんは,売買契約を取消しすることができます。
取消権は,意思表示により効果が生じ,その効果は,遡及的無効です(民法121条)。
遡及的無効とは,はじめに遡って無効になる,すなわち,最初から実は無効であった,という意味です。
取消権行使により,甲さんが乙さんに車を売ったことは遡って無効になることになります。
すなわち,最初からなかったことになるはずなのですが,観念的には,一度乙さんに所有権が移転したものが甲に戻るようにみえると考えることもできます。
それを「復帰的物権変動」といいます。
判例法理にも出てくるのですが,論理的には取消の効果である「遡及的無効」と完全に矛盾します。
その矛盾を頭の中で消化できない(割り切ることができない)と,法律の勉強は進みません。
そういう論点がほかにもたくさんあるので,法律を難しくしていると思います。
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反対尋問の危うさ
http://ofunalaw.exblog.jp/6938210/
2008-04-11T08:29:00+09:00
2018-04-22T06:05:53+09:00
2007-09-11T08:29:21+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
交互尋問とは,先に証人サイドの弁護士が主尋問を行い,主尋問がすべて終了した後,証人に敵対するサイドの弁護士が反対尋問を行うというように,尋問者が交互に変わる尋問の方法を言います。
証人は,反対尋問を想定してリハーサルが行われているため,反対尋問で弾劾(証言の信用性を揺るがすこと)するには,かなり難しいです。
たとえば,主尋問で「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」という風に根拠を聞くと,それなりの根拠を証言することになるため,証言が固まって,信用性が高まってしまうようなことがあります。
それを逆算すると,主尋問で,「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」と聞くのは,特別の事情がない限り,やめた方がいいという経験則が生じるのです。
昨日,2人の敵性証人(相手方サイドの証人)の反対尋問をしました。
こちらも,あらかじめ,色々考えて,証言の信用性を揺るがすような質問を用意しました。
それと,主尋問を聞いて,崩せそうなポイントがあったら,それも突くように考えました。
それでも,反対尋問して逆効果になる危うさを感じました。
その危うさを感じながら,なんとか頑張って,結果的には,ほぼ満足いく反対尋問ができたと思います。
検察時代は,被告人に対する質問は,常に反対尋問になるので,色々工夫しました。
弁護士になり,民事事件の反対尋問をするようになりましたが,検察時代とは違った難しさがあります。
経験を踏み,自分が工夫していくことと,他の弁護士,特に相手方弁護士の反対尋問をよく観察して,技を盗み,スキルをあげていくのが常道のように思います。
昨日の反対尋問もいい経験になりました。
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人権享有主体性
http://ofunalaw.exblog.jp/6703827/
2007-08-13T08:43:00+09:00
2021-01-30T18:36:56+09:00
2007-08-13T08:43:16+09:00
ofuna-law
法律 論点 解釈
人権とは,対国家との関係で人たるがゆえに有する権利のこと。
例えば,表現の自由,信教の自由,財産権,職業選択の自由,教育を受ける権利,生存権などがあります。
憲法上は,憲法の第3章に「国民の」とあるので,日本国民であれば,人権享有主体性があると言われます。
問題となるのは,法人,外国人,天皇など。
これらについては,いずれも,性質上可能な限り,人権享有主体性があると解されています。
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