判例のおさえかた 2007.10記事改訂
(受験通説と思いますが)判例百選の活用がお勧め。
ただ,判例百選も,科目により重要度が異なるので,メリハリが必要。
憲法,民事訴訟法,刑事訴訟法は,特に判例が重要。ゆえに,判例百選を潰す(フル活用する)こと。
全部は無理としても,いわゆるAランクの判例については,しっかりと潰す。
一方,民法,刑法,会社法は,上記3つよりは,判例百選活用の重要度が下がる。
優先する他の勉強(条文,定義,体系,論点等)があるから。
比例して判例は基本書に出てくる範囲で足り,判例百選の優先順位は下がり,余裕があればで十分。おそらく手が回らない。二兎(それ以上になる)追う負う者は一兎も得ず。
さて,判例百選の潰し方(活用法)について。
市販の論点表か,合格者に聞き,おさえるべきAランクの判例を厳選。そこからメリハリをつけて潰す。
事案と判旨が重要。判旨をよりよく理解するために,解説をガイドにして判旨を読み解いていくと効率がよい。
判旨の中でも,規範部分をキーワードとして抜き出し,暗記し,論文問題で出題されたときに,あてはめに使えることが目標になる。
なお,判例百選の解説については,解説者に当たり外れがあるので,注意が必要。
著名ではなく,定評もない学者で,かつ,通常の受験生では理解不能なことが書いてある解説は,理解する労力時間の多さを考えると,無視するのが肝要。
そのような場合は,解説文末の参考文献に着目し,著名な学者・実務家が書いている別の解説,興味をひく解説,古い版の判例百選の解説,重判に掲載されている場合はその解説などをガイドにし,判旨を読み解くべき。
あくまで解説は,判旨を読み解き,理解するためのガイドとして用いるべきであり,解説自体は暗記する必要はないので,注意。
ただし,中には秀逸な解説があり,そのまま暗記が最適な場合もまれにあります。
その辺は,見極めが大切。
私の場合,勉強3年目で初めて(それまでは判例に手を出す余裕はなく,予備校の講義の復習・過去問・論点潰しが精一杯だった),まず民事訴訟法の判例百選(その当時,民訴は200選でした)を潰しました。
5~6人のメンバーで,1か月間,週1でゼミをし,1度に数個の判例について,1つの判例をA5のレポートにまとめ,発表者が発表し,他のゼミ員が発表者に疑問点を質問するという形式で,潰していきました。
このゼミで判例の潰し方が身に付き,次に憲法と会社法(ただし,会社法は,改正との絡みで,判例が今の法律に必ずしもフィットしていないおそれあり)の判例を潰しました。
そうするうち,合格したので,刑事訴訟法の判例百選を潰したのは合格後でした。
他の判例百選については,過去問や答練で出てきたときにスポットで読むだけで,潰していない。
まずは,体系,論点等を先におさえ,過去問を解くことが,判例潰しよりも優先すると思う。
新司法試験になり,判例重視の傾向があるが,基本的かつ体系的な科目の理解なしに,判例を勉強しても,応用力がつかないし,判例を体系立てて理解できないと思う。
要は,科目により判例百選活用は重要だが,まずは,ローの課題・授業・過去問などで,基本的かつ体系的理解を進め,次に,その関係で出てきた範囲で,スポット的に判例百選をおさえ,手が回るようになったら優先順位の高い科目の判例百選を潰すという方針がよい。
換言すると,判例百選潰しにかかるのは基本ができてからで十分と思う。