日産ラシーンの思い出と交通事故の経済的全損のお話
テレビのCMは、井上揚水か誰かの歌がBGMで、どこでもドアをラシーンがジャンプして通りすぎるような映像だった記憶です。
当時、友達に対して、「RV車(当時はそう呼んでいた。今のSUVのこと)なのにRVっぽくなくて中途半端だよ」という自分の意見を言いました。
でも、SUV全盛の今、ラシーンは約30年を先取る超先進的なデザインだったのだと感じます。
当時、あまりヒットせず、現在の市場に出回る台数(球数)も少なくて、中古車が高額で取引されています。
そんな車好きの話だけで終わろうと思いましたが、弁護士なんで、関連する法的な話をします。
交通事故で、車が損傷すると、レッドブックという年式型式ごとに中古車価格が羅列されている本があり、それでその車の価格を決めるのが通常です。
そのレッドブック価格よりも修理代金が高い場合、経済的全損といって、レッドブック価格までしか損害にならず、それだけしか事故の相手方に請求できないとされます(要は頭打ち。自分の車両保険を使えば別)。
でも、もしラシーンだけでなく、その他マニアやオーナーには、レッドブック価格は安すぎて、実勢価格は絶対に高い!と感じる車もあって、そのような場合、少なくともうちの事務所では、私が部下の弁護士に対し、「この車はレッドブック価格より全然高い車だし、依頼者(オーナー)も、絶対そう思ってるから、できるだけ高く評価するようなやり方をして」と指示しています。
結果、今記憶ある限りでは、カプチーノ、RX-7、昔のスープラ、AZ-1(調べればその他の事例もあります)について、レッドブック価格よりも高い評価にねじ込み、依頼者(オーナー)に、(ある程度かもしれませんが)満足いただいたことがあります。
私はホンダS660に乗っているし、車好きなので、相手方保険会社の提示してくる自分の愛車の評価額(レッドブック価格)が納得できないのは、本当によく分かります。
少なくとも乖離しており、「レッドブック価格で買えるなら、買ってきてください。買ってきてくれたら、納得するから」と、相手方保険会社に言い放ちます。
車の価値を弁護士が分かってくれるか否かは、交通事故物損損害賠償請求では、大切な属性です。