年次有給休暇の略し方 有休か有給か
年次有給休暇の略し方について,有休か有給か,どちらが正確なのでしょうか。
ネットを調べると,有休・有給,両論あります。
「辞典」や「新聞記事の表記」を根拠にして説明されています。
辞典は,「有給」として「給料が支払われること/有給休暇の略」とするものや,「有休」として「有給休暇の略」とするものがあります。
最新版広辞苑は「有休」を載せました。が,辞典で「有休」を載せているのは少数派とのこと。
弊法人所蔵の新明解国語辞典に載るのは「有給」のみ。「労働の報酬として規定通りの給料が支払われること。「-休暇」⇔無休」としています。
新聞記事は,新聞社ごとに「有休」「有給」のどちらも正式な略し方として使っているようです。
日経新聞は,「有休」に統一。
その説明要旨は次のとおり。
略し方の長所と短所を考えると,「有休」は意味を限定して伝えることができる。「有給」には「給料が支払われる」という意味がまずあるが,「有休」には「有給休暇の略」という意味しかない。表記のブレを防ぐためにも,「有休」に統一する,と。
「有給」を正式な略し方とする新聞社は,「有休」を見慣れない言葉だと感じたり,「給料」の「給」の字が入る方がイメージが沸くという人もいからというのが根拠のようです。
では,法律上はどちらの略し方が正確でしょうか。
この点,「年休権」という法律用語があります。労働基準法39条が年次有給休暇を定めていますが,この休暇を取得できる権利が「年休権」と呼ばれています。
よって,そもそも「年休」という言い方が最も正確と考えられます。
しかし,「有休」「有給」という略し方が一般化しているので,今更法律家が「年休」が正しいと言い張っても通る話ではないでしょうね。
もっとも,本来「年休」という言葉が正しいということから略し方を敷衍して考えるならば,「有休」と略するのが自然ではないでしょうか。
ちなみに,他の休暇制度の略し方との比較は,一般常識としても法律的にも参考になると思います。
産前産後休暇は「産休」。育児休暇は「育休」。病気休暇は「病休」。
同様に考えると,有給休暇は「有休」となるはずです。
なお,「代休」は略語ではありません。休日に働いた代わりに,改めて労働日に休日を作ることを指す言葉そのものを,代休と言います。