1 刑事弁護に役立つのが「マイホームヒーロー」。山川直輝原作,朝基まさし作画。ヤンマガ連載中で2019年4月現在で既刊7巻。
刑事弁護実務ではここ数年,特殊詐欺の受け子及びそれに類する立場の被疑者・被告人を国選弁護人として担当することが増えた。
「マイホームヒーロー」は,特殊詐欺をテーマにした漫画ではないが,登場人物たちによって,この種犯罪の背後に存在する反社会的組織の実態,内情,上下関係などの人間模様が具体的にリアルに描かれ,大変勉強になる。
国選弁護人として担当するのは,あくまでも,受け子及びそれに類する立場の被疑者・被告人(以下「受け子等」という)。
組織から私選弁護人をつけてもらえないから,国選弁護事件になって,マチ弁が担当する。
逆に,組織内でそれよりも立場の上の人間だと,検挙されれば,組織が特定の私選弁護人をつける。マチ弁への依頼はない。
受け子等は,組織の内情について,知らされていないか,知っていても話せない。国選弁護人は,断片的で朧気な組織の姿のみ窺い知るだけ。
マイホームヒーローを読むと,断片的に知っていた情報がパズルのように繋がって組織の姿が現実味を帯びて見えるようになる。
2 不動産事件に役立つのは「正直不動産」。大谷アキラ著,夏原武原案,水野光博脚本。ビックコミック連載中で2019年4月現在で既刊5巻。
不動産は,売買,賃貸,相続,離婚などの民事及び家事事件において,紛争の対象(客体)になる。
弁護士は,民法という法律の切り口から不動産について勉強をした後,紛争化した際にそれが法律相談や事案として依頼され,当該紛争に関連する不動産取引の実態を少しずつ学んでいく。
「正直不動産」の主人公は,バリバリの不動産会社営業担当者だったのだが,突然嘘がつけなくなる。
嘘がつけないために虚実のある不動産取引の真実を暴露していく(真実が暴露されていく)。
まずは初めて聞くような真実が多い。また,知っていることの再確認,曖昧なことの正確化,本当はそういう意味だったのかという気づきという点でも,大変勉強になる。
なお,両方とも電子書籍(Kindle,楽天kobo等)なら,1~2巻は無料閲覧可能かもしれません。
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