弁護人は、略式命令の一件記録を、簡易裁判所において、閲覧謄写できる。
根拠は、刑事訴訟法40条。
もっとも、略式命令は14日間で確定する。
確定すると、もう弁護人ではなくなる。
だから、略式命令発令から14日以内に閲覧謄写請求をする必要がある。
国選弁護人も、いわゆる「勾留中在庁」であれば、釈放された被疑者の国選弁護人ではなく、解任されていないから、弁護人として閲覧謄写できる。
閲覧謄写が認められる趣旨は、正式裁判請求をするかの検討、罰金額が適正かどうかの検討、略式手続きが適正になされているかの検討のためである。
一件記録は、略式命令後、検察庁に戻される。
ゆえに、弁護人が簡易裁判所に閲覧謄写請求をかけると、一件記録は、再び検察庁から簡裁に戻され、簡裁での閲覧謄写となる。
すなわち、その分の時間のロスを念頭におかねばならない。
東京簡裁や大阪簡裁などの大都市の簡易裁判所と違い、その他の小規模庁の簡裁では実務的に略式命令一件記録の閲覧謄写がなされるのは、稀だと感じた。
そのため、今回、簡裁や書記官や検察官や検察庁記録係を巻き込んで連絡や説明が必要で、その分の時間のロスも生じた。
また、謄写に関しては、裁判官の許可が必要で、謄写する場合は、謄写許可待ちの時間ロスがある。
以上のような時間制限や時間ロスがあるが、結局、期間内に弁護人として略式命令一件記録の閲覧謄写ができた。
参考までに記事として執筆した。
(その他備忘録)
① 略式命令の一件記録は、手続的に公判は開かれていないから、公判記録ではない。また、略式命令の確定前の閲覧謄写請求だから、刑事確定記録でもない。どちらかというと、その性質は、捜査記録のようである。
② 略式命令が確定すると、刑事確定記録として、刑事確定訴訟記録法に基づいた閲覧謄写ができる。略式命令一件記録の閲覧謄写との違いは、刑事確定記録の閲覧謄写は、検察庁が内規に基づいて個人情報等のマスキングをかけることである。逆に、略式命令一件記録は、マスキングがない閲覧謄写となる。
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