大船法律事務所 辻堂法律事務所 平塚八重咲町法律事務所の某弁護士の述懐

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湘南に3つ ―大船(鎌倉市)・ 辻堂(藤沢市・茅ヶ崎市)・平塚八重咲町―法律事務所を置く 弁護士法人プロフェッションの いち弁護士が 思いや出来事を時々つづるブログ

2017年 04月 13日 ( 1 )

大谷實先生の学説(大谷説)を完徹していたが、刑法総論についていうと、大谷先生の「刑法講義総論」は、いまや新版第4版。

でも、刊行が2012.5。5年も経っていることは、その間の新判例が載っていないことを意味する。値段も5000円近くして高いし、もしかしたら、近々第5版が出るかもしれない。だから、いまは買えない。

というわけで、別の先生で、出版年月が近く、気鋭で定評のある基本書を探すと、なかなか見つからない。

そもそも共著は除外。刑法は最も体系の一貫性が必要な法律だから。単著が理想で、理想を求めることは、最も刑法的な思考である。難解で膨大なパズルを孤独に一つの体系として構築し確立してほしい。それが刑法の理想だと思う。氏名で「~説」と呼称されるまでになるのはそのため。

あと、元が実務家も除外。刑法は最も純理論的な法律学だから。実務はいわば妥協の世界である。その妥協の世界を、生粋の学者が純粋に完璧に美しく理論化してほしい。無理はもちろん承知ではあるが、そこに刑法の出発点があると思う。

元が大谷説であるし、判例通説に即せば、行為無価値で。かつ、気鋭の学者で、定評のある書。

となると、なかなかいない。著者の経歴や、売れ行き(版を重ねているか)を、慎重に吟味する。

迷った挙げ句、高橋則夫先生のご著書を選択して買うことにした。

第3版が2016.10刊行。しかも、出版社が成文堂(大谷説と同じ)。経歴は早稲田の西原門下であるとのこと。西原説といえば、「共同意思主体説」ではないか。それなら知っている。同じ早稲田でも、結果無価値の曽根説とは違うのだ。

一方で、いまなら、最高裁判事になったばかりの山口厚先生は外せない。

結果無価値でも、最高裁判事ともなれば、昔の団藤先生のような通説判例への歩み寄りも多少は期待するし、近時の山口説はそれを予感させる説の動きもある。

ないだろうが当初の大谷先生のような、ひょっとすることも起きないかとも思ったりもする(大谷説が結果無価値から行為無価値に大転換したのをリアルタイムで経験した一人であったりする)。

刑法各論についていうと、大谷先生の「刑法講義各論」の最新版は、新版第4版補訂版で、2015.9の刊行。これは買わねばならない。

刑事実務的に、平成10年代は、刑法各論は、判例通説ではない結果無価値でありながら、西田説が圧倒的に支持されていた。名著である。

ただ、西田先生は2013.6に亡くなられた。門下の先生(佐伯先生とか)が改訂するかもしれないが、西田先生ご自身の筆ではないと、説が薄まると感じる。いまは買えない。

体系の一貫性からすると、高橋先生の総論を今回買うなら、各論も買うべきであろう。版をみると、第2版が2014.10刊行。やはり、いま買ってよい。

それと山口説の総論を買うから、同様に各論もと考えたが、刊行が古かった。おそらく近々新しい版が出るはず。だから、いまは買わない。

ちなみに、井田先生のご著書も売れているようで、行為無価値だから検討の余地があるのではないかと思う方もいるかもしれない。

ただ、あくまでも大谷説から見ると、井田説は目的的行為論に拠っており、目的的行為論といえば元は福田説であり、本流の団藤大塚説からは傍流と感じるため(もとより大谷説は東大ではないのでおかしな話だが)、読んでもいないのに敬遠してしまう。

それにしても、昔(約20年以上前)と違って、たくさんの先生がたくさんの基本書を書いている。選択の余地がなかったのも窮屈だったが、余地がありすぎるのも絞れない。悩みという点では同じだが、悩みが贅沢になったものである。

ちなみに、総論2冊、各論2冊を買ったが、通読する余裕がないのが残念である(ということは、通読したうえで推薦しているわけではないので、注意を要する)。


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by ofuna-law | 2017-04-13 10:44 | 法律 論点 解釈

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