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法律の学び方 2008.3記事改訂

元検事なのに実は刑事訴訟法の司法試験を受験をしていなかったりする(今とは試験制度が違ったため)。

でも司試後に刑訴も学び検事をやり,弁護士になったら細かな法律も学び続けます。

そんな経験をもとに書く「法律の学び方」です。

1 各法律の全体構造(体系)を理解する

法律には全体構造(体系)があります。
どんな目的で何をどのように規律しようとする法律なのかという,一貫したものです。

「目的と手段」という言葉がありますが,それでいうと,個々の条文は手段です。条文には,そもそもの目的(立法趣旨)があります。全体がその法律の目的で一貫しています。

そういう構造で全体が形成されていること,これが全体構造(体系)です。
全体構造を見失うと,膨大な条文の森を彷徨う状態に陥り,理解が及びません。

常に,全体として何を規律している法律か,どうしてそういう条文・概念・制度があるのか,という全体構造を意識した勉強が不可欠です。

ボーリングに例えた場合,センターピンを倒せば自然と他のピンも倒れます(逆にセンターピンを倒さずに一本ずつ倒していたらきりがない)。
法律も,全体構造を捉え,センターピンに当たるような要諦をまず倒せば,自然と細かい条文も倒れて,最終的に全体が理解できる構造になっています。

では,どのように全体構造をつかむかというと,まずは,基本書・教科書の「序文(はしがき)」と「目次」がポイントになります。

序文(はしがき)には,簡潔にその法律の要諦が書いてあることが多いです。
目次は,著者が,意図を持ってあえて体系立てて目次を作っています。

これらを地図のように確認しながら,本文を読み進めることで,全体構造を意識した勉強ができます。

2 定義をこつこつと覚える

基本書・教科書を読むと,専門用語が沢山出てきます。誰しもそれで嫌になりますが,その定義をこつこつと覚えて(押さえて)いくと,だんだんとその法律が分かってきます。

基本書・教科書からは,定義部分がひろえるので,そこをカッコでくくるなり,マーキングするなりし,その定義からこつこつと覚えていきます。

行政法の勉強に例えると,公法私法二分論だとか,規制行政・給付行政だとか,行政行為だとか,初めての専門用語がどんどんでてきます。
ひとつひとつその定義部分を特定し,覚えて,読み進めるうちにまた同じ用語がでてきたとき,定義を思い出せなかったら,前に戻って定義部分を確認して覚え直し,前と後ろを行ったり来たりしながら読み進めます。

なお,基本書・教科書の末尾にある「索引」は,これを活用して,定義を覚えているか確認するとよいです。

3 条文・判例に飛ぶ

基本書・教科書を読んでいると,条文の番号が引用されていたり,判例百選の事件番号が引用されています。

これは,著者からの「この条文を見よ」「この事件の判例百選を見よ」というメッセージです。

流し読みのときや,最後まで読み切るのが優先のときは,いちいち条文・判例に飛んでいられませんが,熟読のときは必ず条文・判例に飛び,そこを読んで知識を深めるべきです。

なお,六法で条文を引いたときは,必ず条文の頭に鉛筆で印を入れて,条文を引いた痕跡を残しておくべき。次引いたときに記憶が強化されます。

あと,教科書,条文,判例百選等を読むときは,色鉛筆やマーカーで色分けすると分かりやすいです。
例えば,定義は緑,理由・趣旨は黄色,問題提起はオレンジ,自説はピンク,反対説は青,判例は紫,キーワードは赤というように。自由に楽しく。

4 司法試験の過去問を解く

ただ教科書を読むだけでは,深く考える癖が身に付かなかったり,具体的なイメージができないので,司法試験の過去問を解き,自分の到達度や理解を確かめることも必要。いわゆるケースメソッドです。

過去問は,問題文を読み,頭で10~15分程度自分なりの答えを考えた後,解説や解答例を読んで,自分の考えがどのように間違えていたか,考え方の筋道をチェックします。

やり方として,教科書よりも先に過去問というのも,全然ありだと思います。

過去問を制するものは司法試験を制するという言葉もあります。
なぜそのような問題が出題されたのか,出題趣旨を探ることで,法律家に求められる素養・知識・能力が何なのかが見えてきます。

蛇足ですが,司法試験の問題は,単に知識を聞くだけではなく,「ひねり」が加えられていて,その場で色々と考えさせる良問ぞろいです。

5 講義を聴く

教科書を読んでも,頭にすっきり入ってこず,いつも教科書の最初の方のページで止まって先に進まないタイプや,耳から入るほうが早いタイプの人は,大学や予備校の講義がおすすめです。

講義を聴く際は,予習と復習により,理解を深め記憶を定着させます。

講義は,録音(あるいは音源を購入)し,少なくとも2回は聞くべき。
それは,記憶の定着の意味だけでなく,1回目と2回目では,耳でフォーカスする部分が違い,理解が深まるという意味があります。

講師は,大学であれば司法試験の試験委員の経験がある教授が望ましく,予備校であれば,迷わず看板講師がよいでしょう。

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by ofuna-law | 2017-07-20 09:49 | 司法試験 勉強

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