有隣堂
物心がついた昭和50年代後半には、藤沢駅南口の名店ビルに、既に入っていました。
小学生のときは、有隣堂に本を買いに行くことは、電車での遠足でした。
地元「六会」という生活圏から出て、藤沢駅までは小田急線で10分。
子どもには、藤沢は大都市。かつ、有隣堂には、膨大な蔵書があり、未知の知識の宝庫。
有隣堂は、横浜の伊勢佐木町に本店があり、神奈川・東京に一大チェーンを築く本屋。神奈川の地元企業です。
本屋だけでなく、文具店、CDショップ、音楽教室も、業務としています。
昔は、「有隣堂パーラー」というものもやっていたそうです。念のため、「資生堂パーラー」ではありません。
さて、有隣堂の「有隣」の由来は、ご存知でしょうか?
これまで、その由来など、考えたことありませんでした。
ところが、たまたま論語に関係する本を読んでいたところ、「有隣」についての記述があり、そこで初めて、有隣の意味かを知りました。
それは、「徳不孤 必有隣」という一文です。「徳は弧ならず必ず隣あり」と読みます。
徳のある人は、孤独ではない、その徳には必ず人が集まってくる、常に理解してくれる隣人がいるという意味です。
その意味を推し進めると、徳があれば孤独になることはない、だから、徳を養いなさい、徳を持つようにしなさい、という意味があると思います。
だから、かなりの推量がありますが、有隣堂は、本こそが徳を養うものであり、徳を持ち、徳を養おうとする人が集う本屋になりたいという気持ちで、屋号をつけたに違いないと思います。
というような由来を、先日、藤沢の友達との酒席で話題にしたところ、なるほどー、といった反応があるはず、という予想に反し、「何それ、おかしくない?」という反応が。
どうも「徳」を「得」と勘違いしたようで。
当然、「得は弧ならず、必ず隣あり」では、意味が全く変わってしまいます。それも、悪い意味に。
得なことには孤独はなく、人が集まってくる(群がってくる)。それが有隣堂の名前の由来のはずありません。
あくまでも「徳」です。